英国のEU離脱が確実に：中国の対外貿易金融は短期的に衝撃を受ける恐れ

今年に入ってから、世界経済の回復はさらに緩やかでバランスがとれていない。世界銀行はこのほど、2016年の世界経済成長率予想を1月の2.9%から2.4%に引き下げた。英国の国民投票が欧州から離脱し、世界経済の新たな不確実性要因となった。

招商銀行資産管理部の劉東亮上級アナリストは、「英国のEU離脱によってEUに新たな衰退や悲観的な予想が出た場合、材料は貿易と投資チェーンを通じて中国に伝導されるが、EUは中国の第1位の貿易パートナーであり、中国の対外貿易が受ける影響は特に大きく、年内の経済下押し圧力を高める」と述べた。

華泰証券マクログループの報告書も、大国のゲームの観点から言えば、中国の世界的地位は積極的に変化しているが、中国の対外貿易部門の圧力はさらに大きくなると指摘している。

長江証券のマクロ固定収入グループの報告によると、中国は英国の貿易依存度は低いが、EUと米国経済の成長減速は中国の外部需要の回復をさらに制約するだろう。

しかし、人民元にとっては、英国のEU離脱短期的に見れば必然的に市場のリスク回避感情が増加し、それによってドル指数が押し上げられ、人民元為替レートに短期的な衝撃を与えるが、中長期的に言えば、EU脱退は国際市場に人民元資産を再評価させ、その需要を引き上げる可能性がある。

米国の報道によると、中国銀行株式会社は、英国のEU離脱は中欧貿易だけでなく、英国経済やロンドンの金融センターとしての役割をも損なう可能性があると警告した。同行は、英国の国民投票は不確実性の始まりにすぎないとみている。

中国銀行国際金融研究所の廖淑萍上級研究員によると、英国のEU離脱は同国自身の経済発展を深刻に損なうだけでなく、ロンドンの国際金融センターとしての地位と金融システムの安定性を損なう恐れがあるという。

実際、国民投票の結果はほぼ確定しているが、「EU離脱」には英国内の法的手続きの承認が必要だ。この長い分離過程は始まったばかりで、未来はまだ多くの変数に直面している。

英国国民投票の結果発表当日、世界資本市場大揺れ。ポンドはドルに対して大幅に飛び込み、下落幅は一時10%近くに達し、30年近くぶりの安値を記録した。人民元の対ドル為替レート中間価格は118ベーシスポイント下落し、6.5776を報告した。人民元の即時為替レートも下落傾向にある。

英国とEUの関係は最初から複雑で、変化してきた。英国人は長い間考えても何度も拒否され、1973年にEUの前身である欧州共同体に加盟した。しかし、2年しか経っていないのに、英国は1975年にEUに残るかどうかについて国民投票を行った。その国民投票の結果は残るが、進退問題の議論はやまなかった。

EUが順境にある時、疑欧の声は小さく、EU問題が多い時、疑欧派の勢いは大きい。今回のEU離脱勝利は、英国自身の政治と経済の前途に対する宣言であるだけでなく、国家民族のアイデンティティに対する宣言でもある。